2023年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
(主に英語圏の)政治哲学
演習題目
ゼミ紹介
2022年度秋学期開講の新しいゼミです。政治哲学に関心のある学生を広く歓迎します。 政治哲学とは、自由、平等、正義、権利、権力、権威、暴力、戦争、平和といった、政治に関係する諸概念について深く学び、今ある世界の問題点を理解し、今より望ましい世界のあるべき姿について考える学問です。 「べき」論に取り組むという点では、政治哲学には倫理学と重複する部分があります。他方で、社会や政治の制度に焦点を当てるという点では、政治学と重複する部分もあります。さらに、概念について考える際、思想史の成果を参照する点で、歴史学とも接点があります。これら近隣諸学問領域とどの程度接近し、距離を取るかによって、政治哲学内部に様々な方法論やアプローチが生まれます。唯一の正しいアプローチというものはなく、それぞれに長短がありますので、ゼミ生には自分に合った方法・やり方を見つけてもらいたと思います。 2023年度は、Manjeet Ramgotra and Simon Choat(eds.) Rethinking Political Thinkers (Oxford University Press, 2023)を教科書とし、近年注目されている政治思想の「脱植民地化」の試みについて学び、批判的に考えます。ここでの「脱植民地化」とは、「死んだ白人男性(プラス1名か2名の死んだ白人女性)の歴史」と揶揄される、プラトンからロールズまで従来の政治思想史の西洋中心主義を批判し、新たな思想のあり方を探る試みです。
卒論・卒業研究について
*新設のゼミであるため、卒業研究指導2の履修者が通常よりも少ない可能性があります。履修人数次第では、変則的に専門演習2(火曜日4限)への参加を通じ卒業研究指導を行いますので、注意してください。 政治哲学分野の論文を書く際に、大切なことが二つあります。ひとつめは、有意義かつ解答可能な問いを見つけることです。「有意義」とは、その問いに答えることで、これまで知られていなかったことが分かったり、これまで正しいと考えられていた答えに欠陥があると明らかになったりすることを言います。「解答可能」とは、限られた時間と字数制限内で、ひとつの答えを提示できる、現実的な問いを立てることを意味します。例えば、「リベラリズムの根源とは何か」というのは有意義な問いですが、ひとつの論文で答えを出すにはあまりにも大きな問いですので、卒業論文のテーマとはしては不適切ということになります。 もうひとつ大切なことは、立てた問いに対し、過不足なく答えるということです。「過不足なく」とは、必要な情報を全て入れると共に、不必要な情報を一切入れないことを意味します。一方で説明不足や舌足らずに陥らず、他方で脱線したり冗長になったりせず、有意義な問いに対しひとつの答えを提示する論文。それが、政治哲学分野における優れた論文です。 以上を踏まえた上で、①問いを見つける、②答えを探す、の二段階に分けた上で、論文執筆の指導をします。希望があれば(かつ、十分な語学力があると認められれば)、執筆言語は英語でも構いません。
受講上の注意など
英語の文献を教科書として用いますので、ある程度の語学力(英語)が求められます。また、事前に文献を読んでおくことが授業参加の条件となります。自宅での学習時間を確保してください。 上記の教科書の発売日(2023年3月31日刊行予定)が出版社により延期された場合、ゼミ生と相談の上、同様のテーマを扱った別の書籍・論文を教材として用います。
ページの先頭へ