2023年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
中央アジア史、中央アジア地域研究
演習題目
ゼミ紹介
この演習は、中央アジア(ウズベキスタン、カザフスタン、クルグズスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)の歴史的・現代的諸問題の研究に不可欠な専門知識と方法論を身につけることを目標とする。課題は次の2つの柱からなる。①史資料の読解・分析能力を高めること。②自身の研究関心にしたがって問題の所在を見きわめ、的確なテーマ設定を行い、適切な論証手続きを踏みながら議論・考察を展開し、新知見(先行研究に対する建設的批判を含む)を結論として導き出せる能力を培うこと。別の言い方をすれば、研究を効果的かつ有意義に遂行するための批判精神、客観性、実証性、独創性を養うことがとりわけ重視される。 具体的には、注目すべき研究文献(ロシア語、中央アジア諸語、ないし英語等)の講読に取り組むとともに、必要に応じて参加者各自(輪番式)による論文・研究書の論評や論文構想発表などを行う。各回の演習内容は、参加者の顔ぶれ(関心・テーマ)にもかんがみながら、できるだけ柔軟にこれを調整する。 参加者にはゼミの場における積極的な発言、課題への目的意識をもった意欲的な取り組み、および日頃からの努力と自主性が求められる。副ゼミとしての参加者も受け入れる。
卒論・卒業研究について
中央アジアまたはその周辺(おもにテュルク系/イラン系言語文化圏)を対象地域とし、ロシア語や中央アジア諸語の文献を利用し、かつ政治・社会・宗教・文化・歴史などの分野にかかわるものであれば、このゼミで対応できる。たとえば、前近代・近代のムスリム国家の歴史、ロシア帝国やソ連邦の統治にかかわる諸問題、現代のイスラーム復興、民族問題やマイノリティー問題、あるいは中央アジアと隣接地域の関係(以上はあくまで例にすぎない)などに着眼して問題を掘り下げていくような研究も歓迎する。これらに限らず多様なテーマがありうるが、現代にかかわるテーマを設定する場合であっても、 歴史的視座をぜひとも大切にしてほしい。各自の関心・テーマに即した先行研究の文献リストの作成・提出が、比較的初期の段階でこなすべき課題の一つとなる。 これまでに提出された卒論の題目:「中国の「一帯一路」構想と中央アジア諸国の動向:対カザフスタン関係を中心に」、「カザフスタンにおける産業構造の多角化の展望」、「ドッピのもつシンボル性の変化:ウズベキスタンの首都タシケントに注目して」、「ザンギ・アタ複合体の建築様式・機能の変化とその背景」、「現代ウズベキスタンにおける国民意識形成の動き:国家的メディアとしての教科書」、「現代カザフスタンにおけるカザフ・アイデンティティ形成:“シャラ・カザフ”(半カザフ人)に着目して」、「クルグズスタンの国家建設:映画『山嶺の女王クルマンジャン』を対象として」、「ウズベキスタンの国民形成に関する一考察:「国民独立理念:基本的概念と原則」の授業に着目して」、「ポーランド=リトアニア・タタール人と2つの国家」、「同性愛という名の“ウイルス”:ウズベク・ホモフォビアを理解する」、「ウズベキスタンの国家建設:国家語の地位向上と文字選択に着目して」、「ウズベキスタンのメディア環境と人々の意見形成へのその影響:新型コロナウイルス感染症に関連する報道からの考察」、「カザフスタン共和国アルマトゥ市における電子政府ポータルの利用意図の要因分析」、「ササン朝時代における領域概念「エーラーン」の変遷:東方勢力との関係に注目して」、「ナゴルノ・カラバフ紛争の展望:アゼルバイジャン国内問題としての紛争」
受講上の注意など
受講にあたっては中央アジアに関する基本的な知識を有するとともに、ロシア語または中央アジア諸語(テュルク系/イラン系言語)のいずれかをある程度読みこなせる力を備えること(あるいはそのいずれかの言語習得に目的意識をもって取り組んでいること)が望ましい。 受講希望者は初回のガイダンスにかならず出席すること。開講前の個別相談にも応じる(その場合はメール等で早めに連絡すること)。 なお、以上の記載事項は、本学2年次から3年次・4年次への進級者、他大学からの3年次編入学者のいずれもが、これをよく諒解しておくこと。
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