2020年度
2019年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
国際社会学を専門としています。フランスをフィールドに、移民・ナショナリズム・人種的/性的マイノリティの反差別運動や記憶の政治などを対象に調査研究をしてきました。研究方法としては、質的研究を主としながら言説・表象分析なども組み合わせています。調査・研究倫理の問題、知識と権力の関係性等も研究課題としています。
演習題目
ゼミ紹介
国際社会学(Transnational sociology)は社会学の一分野で、国民国家の枠組みを超えた場所で生じるトランスナショナル(もしくはローカルな)な現象やその主体について考え、国民国家という枠組みを相対化する視点を大切にします。この視点を軸に本ゼミでは、人種・エスニシティ・階級・ジェンダー・セクシュアリティ・障害など多様な分析視角を組み合わせ、社会学の古典的なテーマ(家族、社会制度、社会運動、社会的ネットワークなど)もしくは新しいテーマ(移民、ナショナリズム、シティズンシップや国籍、レイシズム)について考えていきます。(*国家間ないし政府間関係に関心を寄せる国際関係学などとは分野と視点が異なりますので注意してください。国際社会学では、国家的な視点とは距離を置き、個人や集団の視点から社会や物事を考えることを重視します。) 地域としては、フランスの事例や研究を中心に取り扱います。 春学期は、指定の文献を各自事前に講読し、当日は担当者による発表とディスカッションを行います。文献は、参加者の関心に応じて変更予定ですが、とりわけフランスの移民や(人種的)マイノリティに関わるテーマについて、フランス語・英語・日本語で書かれた学術書・論文を取り上げます。そして、文献を的確に読む能力、論点を掴む能力、批判する能力、そこから自分自身の問題関心に引きつけて研究を深める能力を養います。受講者の構成によっては、積極的にフランス語の文献を読んでいきます。 秋学期は、問いの立て方、先行研究の分析の仕方、方法論、調査方法と調査倫理、文献の探し方、研究の社会的な意義などについての一通り確認した後で、各自の研究発表とその議論を行っていきます。秋学期の中間と最後には、各自で進めた研究をまとめたレポート・ゼミ論文(卒業論文)を提出してもらいます。 【指定文献の例】 Hajjat Abdellali, 2013, La marche pour l’égalité et contre le racisme, Paris: Édition Amsterdam. Wieviorka, Michel, 1998, Le racisme, une introduction, Paris : La découverte. 森千香子, 2016, 『排除と抵抗の郊外ーー フランス〈移民〉集住地域の形成と変容』, 東京, 東京大学出版会. ジョーン・W・スコット, 2012, 『ヴェールの政治学』(李孝徳訳)みすず書房.
卒論・卒業研究について
国際社会学的なテーマに当てはまるものであれば、フランスを対象地域としなくても受け入れます。例えば、フランスや日本における移住労働者の生活とその家族のあり方、移民の子どもの経験や教育、人種主義や差別の問題、それと密接に関わるジェンダー・セクシュアリティの側面やフェミニスト運動、極右の台頭や排外主義、またこうした問題に関する地域社会の取り組みなどのテーマが挙げられます。これらについて、国家や政府とは異なる視点、とりわけ当事者の考えや経験を重視する研究などを想定しています。
受講上の注意など
文献の購読においては、担当者以外の参加者も毎週事前に文献を読み、A4で1ページ程のコメントを提出することが、授業参加の条件です。また、本ゼミ参加者には、研究対象との関係において、社会における自らの位置について深く考えることを求めます。これまでの自分の思考枠組みを揺さぶられ、異なる立場に立って物事を考える勇気と柔軟な発想を持った学生さんを歓迎します。扱う文献の性格上、フランス語を履修していることが望ましいです。
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