2025年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
社会学、沖縄現代史・社会運動史
演習題目
ゼミ紹介
アメリカの社会学者C・ライト・ミルズ(1916-1962)は、1959年の著書『社会学的想像力』で「一人の人間の生活と、一つの社会の歴史とは、両者をともに理解することなしにはそのどちらの一つも理解することができない」と説き、「「社会学的想像力を所有している者は巨大な歴史的状況が、多様な諸個人の内面的生活や外面的生涯にとって、どんな意味を持っているかを理解することができる」と主張した。ミルズの考えにならえば、社会学を学ぶ意義とはすなわち、個々人の日常が「社会」や「歴史」とどう関連しているかを捉える「社会学的想像力」を鍛えることであり、構造的変動のなかで翻弄されながらも、変革を求め抗い生きる個々人の日常の具体的経験がつくる歴史を捉えていくことである。 このゼミでは、人びとの日常と、人びとの置かれた構造的変動の連関、いいかえれば個々人の具体的経験〈ライフヒストリー〉と〈歴史〉の接点を捉え、記述することを目指す。 自らにとって切実な問題が何であるかを理解し、その上で、文献・論文などの先行研究を積極的に探し、読み進め、問いを立てる努力を継続して行うことが本ゼミの参加にあたっては必要とされる。 ゼミ生の関心や共通文献に関連する場所にフィールドワークや見学に行くこともある。 2025年度のゼミでは、特に第2次世界大戦後の世界で推し進められた米軍による囲い込み/エンクロージャーとそれに対する抵抗について書かれたテキストを読み理解を深める。使用予定の文献・論文は以下の通り。 デイヴィッド・ヴァイン『米軍基地がやってきたこと』原書房、2016年。 藤目ゆき『占領軍被害の研究』六花出版、2021年。 阿波根昌鴻『米軍と農民』岩波書店、1973年。 藤目ゆき『女性史から見た岩国米軍基地:広島湾の軍事化と性暴力』ひろしま女性学研究所、 2010年。 ジョーン・スコット『ジェンダーと歴史学 増補新版』平凡社、2004年。
卒論・卒業研究について
このゼミでは、3,4年次の次の作業を通じて卒業論文を完成させる。 3年次(春学期)文献購読とディスカッション、個々の学生によるプレゼンテーション (秋学期)文献購読とディスカッション、個々の学生によるプレゼンテーション ※春学期は学期末までに4000字以上のレポートを執筆し提出することが要件となる。 ※秋学期は学期末までに8000〜10000字以上のゼミ論文を執筆し提出することが要件となる。 4年次:文献購読とディスカッションを継続しながら、卒論執筆の途中経過報告および討論をくり返し、後期の仮提出時までに16000字以上の卒業論文を完成させる。 (参考)過去に提出された卒業論文題目例 「イタイイタイ病:痛みから生まれた住民の闘い」 「ハンセン病問題における「市民の責任」」 「沖縄県外の米軍基地を透明化してきたものー非対称性と基地の固定化を維持するための無関心ー」 「ボリビアにおける先住民フェミニズムの台頭 ―チョリータ・レスリングに秘められた女性たちの葛藤―」 「1990 年代以降のフィジーにおける観光産業:フィジー人社会への影響の視点から」 「政治を歌うことに関する考察 うたごえ運動・放送禁止歌・ポピュラー音楽分析から」 「フィリピン旧日系人4世の日本定住という『賭け』―日本に住む4世Aさんの定住を支える家族と世代格上げ戦略に着目して―」
受講上の注意など
①この演習では沖縄現代史、社会運動史についてのテキストや資料を扱います。関連するテーマについて、本や論文を読み、論文を書きたいという学生を歓迎します。 ②春学期に開講する「社会学原論」、秋学期に開講される「質的社会調査法」と「現代社会論」を2年次のうちに、または3年次のゼミと同時に履修し単位を得ることが前提条件です。 ③自身が関心のあるトピックやテーマ、領域などをあらかじめ考え、関連する文献などがあれば読み進めておくこと。 ④ゼミ登録時には、何をテーマにしたいのか、なぜこのゼミを選ぶのかについての志望動機、および留学予定等を含む事項について詳細に書くこと。 ⑤課題テキストは事前に読み、論点と質問を用意した上でゼミに参加すること。
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