2026年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
日本近世史、都市史
演習題目
ゼミ紹介
ポーターゼミでは、「近世都市の身分秩序」を主題として、身分論の観点から近世都市社会の構造的特質を分析する。具体的には、織豊期以来の歴史的展開をふまえつつ、近世身分社会の成立過程とその変容を考察する。その際、近世の「三都」—江戸・大坂・京都—を具体的な分析対象として取り上げ、都市における支配体系と、分節化された社会=空間構造とを総合的に把握することを目指す。近世社会は、身分を基本的な編成原理とする前近代社会の一形態である。原則として身分は集団として存在し、都市住民は個人としてではなく、身分集団に付属する存在として位置づけられていた。すなわち近世段階においては、自立的な個人は未成立であり、所有や生産といった社会的営為も、集団内部の秩序によって媒介・保障されていた。近世の社会体制のもとで、公認された身分集団はそれぞれ固有の公役を負担し、その見返りとして集団ごとに異なる特権を付与されていた。他方で、こうした公認身分の外側には、未公認の社会集団も数多く存在していた。それらは狭義の身分制の枠外、すなわち「周縁」に位置しながらも、近世社会の構造的実態を強く規定する要素であった。したがって、身分社会の全体構造を総合的に理解するためには、百姓や職人といった基幹的身分のみならず、近世身分制の公式な枠組みに収まりきらない身分集団—すなわち、近世社会の基本的な生産関係や所有関係から疎外された周縁的要素—にも目を向ける必要がある。本ゼミでは、こうした身分的周縁に位置する諸集団に焦点を当てることで、近世都市社会の全体像を立体的に把握していく。
卒論・卒業研究について
卒業論文ゼミの最終課題は、卒業論文を執筆することである。学生は、実証的な研究手法にもとづき、自ら設定したテーマについて、史料および関連文献を収集・解読し、学術的な論文としてまとめることが求められる。論文の執筆にあたっては、以下の四点について達成度を評価する。第一に、論文のテーマが明確に設定されているか、また取り上げる課題とそれに対する答えが具体的かつ実証的に提示されているか。第二に、信憑性のある一次史料および適切な参考文献が十分に活用されているか。第三に、先行研究を的確に把握したうえで、自身の研究が既存の研究蓄積の中にどのように位置づけられるのかが明示されているか。あわせて、論点が十分かつ正確に抽出され、適切に検証されているか。第四に、論文全体の構成や叙述が論理的に整合しており、学術論文としての基本的な形式と表現を備えているか。
受講上の注意など
ポーターゼミへの所属を検討されている方には、私が担当する世界教養科目「歴史の中の日本を知る1」および「歴史の中の日本を知る2」の受講を推奨しております。これらの授業では、日本近世社会とその歴史的変容についての基礎的な知識を身につけることができます。
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