2025年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
都市社会史、地域史、民衆史、古文書学
演習題目
ゼミ紹介
ポーターゼミでは、「近世都市の身分秩序」というテーマのもと、身分論の観点から近世都市社会の構造的特質を分析していく。具体的には、織豊期からの展開をふまえつつ、近世における身分社会の成立過程とその歴史的展開を考察する。その際、江戸・大坂・京都という近世の「三都」を具体的事例として取り上げ、都市における支配体系と分節的な社会=空間構造を総合的に把握することを目指す。近世社会は、身分を編成原理とする前近代社会の一形態である。原則として、身分は集団として存在し、都市住民はその集団の構成員として位置付けられていた。つまり、近世段階においては、自立的な「個人」はまだ成立しておらず、所有や生産といった営みは、集団内部の秩序によって媒介・維持されていた。近世の社会体制のもとでは、公認された身分集団がそれぞれ異なる公役を負担し、その代償として固有の集団的特権が付与された。一方で、公的に認められていない社会集団も多数存在し、こうした集団は、狭義の身分制度の枠外(すなわち「周縁」)に位置しながらも、近世社会の構造に深く関与し、その実態を大きく規定していた。したがって、身分社会の全体構造を総合的に把握するにあたっては、百姓や職人といった基幹的な身分集団だけでなく、近世身分制の公式な枠組みに収まりきらない集団、すなわち、所有関係や生産関係の中で排除・疎外されてきた周縁的な存在にも目を向ける必要がある。本ゼミでは、このような周縁的要素に注目することを通じて、近世都市社会の全体像の解明を試みていく。
卒論・卒業研究について
卒論ゼミの課題は、卒業論文の執筆である。具体的には、実証的な研究手法を用いながら独自のテーマを設定し、史料と文献を収集・解読しつつ、学術的な論文を執筆する。論文執筆に際しては、以下の四点についての明確な答えを求める。論文のテーマは明確か。取り上げる課題とその答えを、具体的かつ実証的に捉えているか。信頼性のある一次史料や参考文献を適切に使用しているか。先行研究を十分に踏まえているか。自らの研究が既存の研究とどのような関係にあるかを明確に示しているか。論点は十分かつ正確に導き出され、検証されているか。
受講上の注意など
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