2025年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
日本語学、日本語教育学
演習題目
ゼミ紹介
この卒業研究演習(卒論ゼミ)では、現代日本語における様々な表現(語、複合的な表現、構文、興味深い使い方がなされるものであれば広くどんなものでも)を取り上げ、その意味・用法を、それらの表現の形式的な特徴、および使用される特徴的な文脈などをおさえた上で、詳細に分析・記述し、その表現の背後にある話者(使用者)のとらえ方、社会的な背景とともに、その用法の特徴を見出し、新たな用法であればそれを生み出すこととなったきっかけはどこにあるのか、その意味拡張の動機付け等を論じていきます。言語データは、対象となる表現にあわせ、書き言葉のコーパスや話し言葉のコーパス、また対象となる形式が新しい意味・用法を持つものであれば、SNS上などで実際に使用されている言語表現などもデータとして扱います。 実例を丹念に見ていく根気、直観的に意味の違いを見つめることのできる言語感覚、緻密な思考と明快な論述力など、必要とされる力はいろいろありますが、言葉の新しい使い方や、気になる用法などを解明してみたい人、言葉の意味(の不思議と魅力)を解明・記述することに喜びを見出せる人にとってはとても取り組み甲斐のある、おすすめの分野です。論文の作成においては、明快かつ論理的な記述を行うことを重視します。的確な例を引用しながら丁寧に分析を積み重ね、文章の推敲を繰り返し、よりよい論文に練り上げていく意欲のある人をお待ちします。 受講者による研究進捗状況の報告・発表を順次行い、担当教員からコメントするとともに、受講者相互でも質疑応答を行うという形でゼミを進めていきます。必要に応じて、関連する参考文献の講読を行います。
卒論・卒業研究について
これまでのゼミ生の卒論テーマは下記の通りです。 <2024年度 卒論テーマ> ・「至高」「極上」「最高」「究極」の意味分析 ・外来語名詞「レベル」の意味・用法についての包括的考察 ・「間(ま)」について考える ・外来語「グローバル」の用法分析 <2023年度 卒論テーマ> ・一人称『ボク』と『オレ』の分析―英語圏男性VTuberの和訳切り抜き動画の和訳字幕を参考に― ・ゲームプレイの場における動詞の新たな用法の分析―「壊す/壊れる」「刺す/刺さる」「回す/回る」を通じて― ・レトロニム(再命名)から見る「アナログ」の多義性 <2022年度 卒論テーマ> ・現代日本語の形容詞に見られる意味の変化―形容詞「渋い」「厳つい」「丸い」「尊い」における新たな用法の分析― ・日本漫画と台湾漫画における「効果文字」の翻訳手法―日本語から中国語・中国語から日本語― 参考までに、大学院レベルではどのようなテーマで修士論文等の執筆が行われているか、以下、大学院ゼミにおける修論テーマの一例も挙げておきます。 *なお、これらのテーマは、本教員のホームページのうち「指導学生の研究テーマ」に一覧が掲載してあります。(↓ホームページは「鈴木智美 東京外大」で検索可能) https://www.tufs.ac.jp/ts/personal/SUZUKI_Tomomi/mc-topic.html <参考:修士論文テーマ> ・新用法を含む漢語接辞「感」の文法的特徴と意味・機能についての考察 ・名詞を並列する「や」についての分析 ・現代日本語に見る外来語の多義性に関する研究—外来語形容詞「ハード」を中心に— ・「AはBのX」形式の意味・用法に関する研究—「AはBの代名詞」を中心に— ・「名詞+助詞+動詞」型コロケーションの産出における辞書アプリの使用―中国語を母語とする日本語学習者を対象に― ・連体詞「ある」と「とある」に関する一考察 ・中国人日本語学習者における和語多義動詞の語義習得―典型度と日中同形漢字の意味対応関係から ・韓国語の「漢語+hata」に対応する日本語の漢語について ・中国語を母語とする日本語学習者の助数詞理解に関する研究 ―「つ」「個」のとらえ方を中心に― ・「擬態語(と)+くる」の意味・形式的特徴に関する考察 ・日本語の動詞「うつ」の意味分析 ・身体語彙を含む慣用句とその意味 様々な語・表現の分析を通じて、言葉の意味のあり方に迫っていくことが中心となりますが、母語との比較対照や、それと関連し、母国あるいは日本語教師として派遣された国・地域の日本語教育についての課題の分析なども、研究テーマとして取り組まれています。 (*「オノマトペ」については、解決すべき問題点が明確でない限り、意義のある論文につなげることが難しい、つまり表面的な分析のみに終わってしまう可能性もありますので、これをテーマにしたいと考えている場合は、相談の上、テーマ変更を助言する場合があります。) 本担当教員の研究テーマも同ホームページ「研究業績」(↓下記URL)に一覧がありますので、興味のある方はタイトルだけでも眺めてみてください。卒論のテーマは広く歓迎します。 https://www.tufs.ac.jp/ts/personal/SUZUKI_Tomomi/mc-research-pub.html
受講上の注意など
3年次に、本教員開講の以下の2つの科目を履修していることを条件とします。 ・「日本語学2:現代日本語の語彙の諸相」(1学期) ・「日本語学3:現代日本語意味論」(1学期) ほかに、本教員開講の「日本語学演習5:現代日本語の意味分析の基礎」(2学期)、「日本語学演習6:意味論文献講読」(2学期)も、可能であればあわせて受講しておいてください。上記「日本語学2」「日本語学3」を補完する位置付けとなります。
ページの先頭へ