2025年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
社会学(国際社会学・都市社会学)/移民研究。フランス地域を対象に質的調査・エスノグラフィーの手法で、国際移動や交差的(人種・ジェンダー・セクシュアリティ・階級)な社会運動、知/権力をめぐるポリティクスを研究しています。
演習題目
ゼミ紹介
国際社会学(Transnational Sociology)は社会学の一分野で、国民国家の枠組みを超越した空間で生じる現象や主体を社会学的に捉え、国民国家の枠組みを相対化する視点を大切にします。この視点を軸に本ゼミでは、人種/エスニシティ・階級・ジェンダー・セクシュアリティ・障害など異なる権力関係の絡み合いを前提に、社会学の様々なテーマについて考えていきます(*国家間ないし政府間関係に関心を寄せる国際関係学や国際政治学などとは分野と視点が異なりますので注意してください)。学問と社会の関わり等も含め思考を深めながら、2年かけてしっかり卒論執筆の準備をすることを主な課題にしています。 【3年ゼミ】 指定の文献を各自事前に講読し、当日は担当者による発表とディスカッションを行います。文献は、参加者の関心に応じて決めていますが、「研究すること」や「知識の生産」について考える文献、国際移動が照らし出す社会や国民国家の問題や、人種・ジェンダー・セクシュアリティ・障害等の交差するマイノリティ/マジョリティ関係に関わる文献など、英語・日本語で書かれた学術書・論文を取り上げます。輪読を通して、春学期は、文献を的確に読む能力、論点を掴む能力、批判する能力、そこから自分自身の問題関心に引きつけて考えを深める能力を養います。秋学期は、問いの立て方、先行研究の分析の仕方、方法論、調査方法と調査倫理、文献の探し方、研究の社会的意義など、研究のための要素を一通り確認し、各自の研究計画の発表も少しずつ行います。秋学期の中間と最後には、各自で進めた研究をまとめたゼミ論文を提出してもらいます。また、3年ゼミでは各学期に一回、フィールドワークを実施します。2024年度は、『移民・難民フェス』への参加と新大久保の都市フィールドワークを実施しました。 【卒論(4年)ゼミ】 春学期は、3年生のうちに作成した研究計画書をもとに、各自の卒業論文執筆にむけた研究発表を中心としたゼミを行います。具体的には、各自で準備した原稿やレジュメをもとに、研究概要の報告と議論および教員との個別面談を行います。また、ゼミ生の人数によっては、3年生との合同ゼミを行い、3年生には研究発表に触れる機会を、4年生には自分の研究だけでなく可能な範囲で輪読に参加する機会を設けています。秋学期からは、12月中の卒論完成に向けて、卒業論文原稿の執筆と修正を本格的に進めていきます。学期末には、3・4年生合同のゼミ論・卒論報告会を実施し、それぞれが完成させた論文について、ゼミメンバーとの質疑応答を行います。
卒論・卒業研究について
基本的には、社会学(国際社会学・都市社会学)的な視点に関連づけられる研究課題であれば、対象地域に関係なく指導しています(フランス語専攻の学生は常時20〜40%程度です)。他方で、教員の専門外の地域について研究したい場合には、サブゼミなどで受講することが望ましいと考えます(「社会学的な視点」については、図書館などにおいてある社会学の教科書にあたり興味を持てるかどうか確かめてみてください。国際社会学については、田邊が担当する「社会学A1(国際社会学)」のシラバスに目を通してください)。 これまでの卒論のタイトルを抜粋すると、以下が挙げられます。 「在留外国人を包摂した防災政策推進の萌芽と課題ーー外国人集住自治体を例に」(2021年 度) 「多拠点居住をめぐる社会学的考察ーー多拠点居住者の語りとエスノグラフィー調査から」(2022年度) 「現代日本社会における育児と男らしさ――2010 年以降の男性向け育児雑誌における言説から」(2022年度) 「フランスにおける『テロリズム』と『表現の自由』ーー2020 年の中学校教師殺害事件をめぐる言説分析」(2023年度) 「『入管法改正』反対運動における抵抗の言説とフレーム ̶̶「包摂」のポリティクスを問い直す」(2023年度) 「トランスの移住セックスワーカーの排除と不可視化 ――公式・非公式の制度とその原理をめぐる分析」(2024年度) 「弱者男性論に見られる男性性分析 ――男磨き言説とミソジニスト言説に表象される男性性から」(2024年度)
受講上の注意など
3年ゼミの輪読は、担当者以外の参加者も毎週事前に文献を読み、A4で1ページ程の要約とコメントを提出することが、授業参加の条件です。また、本ゼミ参加者には、研究対象との関係において、社会における自らの位置について深く考えることを求めます。社会学的な視点に立ち、これまでの自分の思考枠組みを揺さぶられ、異なる社会的位置から物事を考える用意のある学生さんを歓迎します。また、本ゼミに参加が決まった方は、3年生に上がるまでに少なくともひとつは社会学の科目を受講しておくことが好ましいです。3年次編入生で本演習への参加を希望される場合には、過去に社会学の授業を少なくとも一コマは受講していること、もしくは独学ですでに学んでいることを必須とします。また、3年次編入希望者との事前の面談等は実施していませんのでご承知ください。毎年、学期初め・終わりの懇親会(ピクニック)や納会は実施しますが、飲み会などは殆どやっていません。そうした楽しみを期待される学生さんには期待はずれかもしれません!?
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