2025年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
専門:中央ヨーロッパ史(ハプスブルク帝国史、チェコスロヴァキア史、チェコ史、ガリツィア史-現在のポーランド、ウクライナの一部)、特にその近・現代史。国民形成論、ナショナリズムの諸問題、社会主義体制下での日常史、異論派運動、都市史、文化財保全の思想・運動・制度、第二次世界大戦の記憶、中・東欧における絶滅政策 卒論指導可能分野:ドイツからロシア帝国・旧ソ連西部にかけての近現代史、文化と社会にかかわる諸テーマ。19、20世紀を中心とするヨーロッパ史全般。
演習題目
ゼミ紹介
中央ヨーロッパの近現代史は、断絶と強固な連続性によって特徴づけられます。現在、私たちが知るこの地域の国家秩序は、19世紀後半になっておぼろげな姿を現し、第一次世界大戦で長い歴史を持つ諸帝国が解体した後、ようやく明確な形を取りました。さらに、第二次世界大戦による破壊、ナチ・ドイツによる絶滅戦争、人種政策や、スターリンの社会改造、そして戦争末期から戦後の住民追放によって、中央ヨーロッパの住民構成は断絶ともいってよい変化を被りました。 このような変化によってもなお、「中央ヨーロッパ的」な文化、景観、歴史に対する意識・態度、といったものを語ることができます。「中央ヨーロッパ的」とは、定義できるものであるより、それぞれの研究の結果、見えてくる文化的風景です。そして、そこに到達する過程で、みなさんは、「中央ヨーロッパ的」な問題関心、ある種の「感覚」は、広く、深く、みなさんの生きている場、現代の諸状況に活かせることを知るでしょう。 演習では、ナショナリズム、社会主義、歴史の表象(文学や映像、景観などに表現される歴史)、集合的記憶などの問題を広く扱います。課題によっては、中央ヨーロッパ以外の地域を学びたい人にも演習は開かれております。 演習は、文献の講読を通じて、ヨーロッパ近現代史にアプローチする方法を学び、同時に参加者各自が卒業論文・制作に向けたテーマを発見することを目指します。アクティヴ・ラーニングでは、日本国内の近現代史にかかわる遺産を訪ね、みなさんのテーマとのかかわりを考えます。昨年は、近現代史に関わる都内の博物館・資料館を2度に分けて訪ねました(東京大空襲・戦災資料センター、東京都慰霊堂、靖国神社遊就館、昭和館など)。このほか中央ヨーロッパの歴史と文化を考える催しを訪ねました。 大学院博士前期課程(修士課程)で実施されている中央ヨーロッパ大学Central European Universityとのデュアル・ディグリー・プログラム「公共圏における歴史」History in the Public Sphere(詳しくはこちらを参照してください→https://www.tufs.ac.jp/education/pg/hips/)と関連させながら授業を実施することもあります。また卒業生にはこのプログラムに進学する人も数多くいます。このプログラムに参加する学生の研究領域は中央ヨーロッパに限られません。
卒論・卒業研究について
2024年度の卒業論文は以下のようなテーマでした: スペインにおける歴史の見直しの課題について 日常史から探る白バラの実像:また英雄化と記憶の問題について 記憶と歴史の諸問題に挑む「二国間共通歴史教科書」の可能性:ヨーロッパの完成例から東アジアを考える 現代ポーランド映画におけるワルシャワ蜂起の表象 映画「関心領域」から考察・検討するホロコースト映画の役割と意義 社会主義の記憶とユートピア 19世紀ドイツの料理書をもとにパンの再現を試みる パブリックヒストリーとしての歴史ゲーム
受講上の注意など
・中・東欧の歴史や文化に関心のある方は、英語のほか、ドイツ語、チェコ語、ポーランド語、ロシア語のいずれかの言語の読解能力があることが望まれます。 ・ただし、昨年度、提出された卒論の題目を見ていただければわかるように、ゼミには中央ヨーロッパ以外のヨーロッパ近現代史、日本近現代史に関心のある方も歓迎します。
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