2026年度
教員名
専門領域・卒論指導可能分野
ペルシア文学、イラン文化
演習題目
ゼミ紹介
現代イランを理解する鍵は、千年前の文学の中にあります。 私の専門はペルシア古典文学です。 現代イランの人々は何を大切にし、どのような人生観や価値観を育んできたのでしょうか。私は長年、ペルシア古典文学を通して「イラン人とは何か」という問いを追い続けています。 一見すると、古典文学は遠い過去の遺物のように思われるかもしれません。しかし、古典文学とは単に古い作品ではありません。長い年月を経てもなお読み継がれているのは、そこに人間にとって普遍的な問題や関心が描かれているからです。古典文学には、その社会を生きた人々の喜びや悲しみ、理想や葛藤、信仰やユーモアが刻まれており、人々の考え方や感じ方が鮮やかに表れています。 ペルシア古典文学もまた、イラン人の精神世界を映し出す鏡です。そこには、現代イラン社会にも受け継がれる人生観や価値観、さらには人間として生きるための知恵が豊かに息づいています。古典文学作品は、イランやイラン人を知るための重要な手がかりとなるだけでなく、私たち自身の生き方や人間関係を見つめ直す契機にもなります。 学生時代だからこそ可能な、腰を据えた読書を通じて、ペルシア古典文学と向き合いじっくり思索を深め、自らの視野や想像力を広げてみませんか。 ゼミでは、フェルドウスィーの『王書』をはじめ、アッタールやルーミーの神秘主義叙事詩、ハーフェズの抒情詩などを取り上げます。作品を精読しながら、その背後にある人生観や価値観、現代にも受け継がれるイラン人の精神文化について考察していきます。扱うテキストは、受講者の関心も踏まえ、毎年相談のうえ決定します。 最初の数回は講義形式で基礎知識や作品の背景を丁寧に解説します。その後は参加者自身がテキストを読み進めながら、作品に表れた思想や精神性について議論を重ねていきます。ペルシア文学や詩に初めて触れる人も歓迎しますが、作品と粘り強く向き合い、自ら考える姿勢が求められます。ペルシア古典文学の読解は決して容易ではありません。しかし、だからこそ、作品の一節を丁寧に読み解き、その背景にある思想や価値観に迫る過程には大きな発見があります。
卒論・卒業研究について
これまでに提出された卒業論文のタイトルを、ジャンル別にいくつか挙げておきます。 ペルシア・イラン文学関連では「現代イランにおける女性の文学的ディスクールの社会受容の考察」「ペルシア文学における「英雄」の諸相」「サアディーが説く「処世訓」―『薔薇園』より―」「ペルシア修辞学―その体系と用例」「ハイク研究」「1930年代イランの小説における検閲の事例とその考察」などがあります。また、中世イスラーム世界の錬金術に注目した論考「魔術から科学へ ―中世イスラーム世界における錬金術の黎明期ー」といったイスラーム文化研究の卒論もあります。イラン社会における服装や風俗に関しては「イランにおける民族衣装のいま―トルキャマーンの装身具を中心に」、「象徴としてのヒジャブ」、ペルシア語に着目した卒論には、「イラン人に負けないペルシア語―イランの大学入学試験で求められる水準から見えるもの」「イラン社会を読む―風刺新聞「ゴルアーガー」を題材に―」などがあり、イラン社会の事象を扱った「イラン社会を紐解く―鼻整形を糸口とした多角的アプローチに鑑みて」「イスラームの結婚:時代の変遷とともに」などの論考も挙げることができます。 古典文学から名作を集めたハーンラリー夫人編著『ペルシアの美しい物語集』、ナーセル・ホスロー著『旅行記』、現代女性作家ゾウヤー・ピールザード著『3冊の本』の3作品の翻訳(全訳)や、「サアディー『ゴレスターン』第3章 解題 ―「足るを知る」についてー」といった古典作品の注解も、卒業研究として提出されてきました。
受講上の注意など
ペルシア語専攻生または既習者で、佐々木担当の概論科目や専門講義を少なくとも半期受講しておくことが望ましいのですが、それ以外の場合でも相談に応じます。ペルシア語テクストを精読したい、あるいはイランの文化にどっぷりと浸ってみたい人、大歓迎です。
ページの先頭へ