タイトル
     2020 年度   世界教養プログラム
  
地域基礎2A(オセアニア1)   
時間割コード
160007
担当教員(ローマ字表記)
  山内 由理子 [YAMANOCHI Yuriko]
授業開講形態 授業形態 単位数 学期 曜日・時限 実務経験のある教員による授業
    2 春学期 水1 -
授業題目(和文)   
オセアニアの歴史と社会(A)(J)
 
Title(English)   
History and Society of Oceania (A)(J)
 
授業の目標   
オーストラリア・ニュージーランドを中心にオセアニアに関しての基礎的な知識を深める。世界史の流れの中に両国を位置づけて把握し、両国において重要な事象や人物に関して説明ができるようになると同時に、両国の中で代表的な政治的・社会的・歴史的事象が世界的にどのような意味を持っているかについて、他国の事象を関連付けて語れるようになる。

 
Goals of the course   
This class is to learn the history and basic political and social issues on Australia and New Zealand, and to understand the significance of these two countries regarding the world history and politics.
 
授業の概要   
オーストラリア・ニュージーランドの歴史の概略を講義で学び、そこから敷衍して、戦争、資源開発、日豪関係、先住民問題などの今日の両国理解に重要なトピックを学生の発表という形で学ばせる。また、レポートを通じて、多文化主義理解において重要な「民族」概念に関する基本的な理論の定着とそれに関する考察を行わせる。
講義形式を中心とし、その他に3-4人でのグループ発表、レポート(2本)を課す。

グループ発表は基本文献を挙げるので、それを読み、課題に答える形で発表を行う。発表形式は自由だが、3-4人のグループで30-40分程度を目安とする。グループの成員全員が発表に参画する行うこと(一人10分程度)。また、発表の後に何らかの形で聴衆とのインターアクションを行うこと(クイズ、テスト、ディベートなど)。発表の形式は自由。聴衆により発表の評価を行う。発表の割り振りは受講者決定時に行う。受講希望者が多い時は発表を増やす。

レポートに関しては、各4000字程度で指定された論文を読み、課題に答える形を取る。

授業に関する詳細は開講時に指示するので、かならず第一週目には出席すること。出席が難しい場合は、メールなどで連絡すること。

 
Overview of the course   
Lectures, group presentations by the students, essays. The details are instructed at the beginning of the class
 
キーワード   
オセアニア、オーストラリア、ニュージーランド
 
Keywords   
Oceania, Australia, New Zealand
 
授業の計画  
No.内容
ALH1 アクティブ・ラーニング(1)
授業で指定する文献を読み、レポートを書く。
締め切り 第7回授業
ALH2 アクティブ・ラーニング(2)
フィルム『ワンス・ウォリアーズ』を見て、レポートを書く。
締め切り 第11回授業
第1回 オリエンテーション:ガイダンス、受講上の注意など
第2回 オーストラリア(1)-人の移動からオーストラリアの「形成」、第二次大戦まで
第3回 ゲストレクチャー「オセアニアと東南アジア(1)」
第4回 <学生発表>日本とオーストラリアの戦争

課題: 日本とオーストラリアの間の戦争の概略を示したうえで、オーストラリアにおいて、戦争記念館、教科書、文学などにおいて戦争がどのように表象されてきたかを示せ。また、ダーウィンやパプアニューギニアのようなオーストラリア領内の「辺境」的な地域で戦争の際にどのようなことが起こったか、そしてそのことがどのように表象されてきたか、表象の歴史的変化や史実とのずれ、そして表象の変化の背景などに留意しながら説明せよ。
その後で、今まで自分たちが学んできた第二次世界大戦の歴史との違いをまとめよ。

<基本文献>
飯笹佐代子
2012 「戦争の歴史を学ぶ:教材にどう描かれているか」鎌田真弓(編)『日本とオーストラリアの太平洋戦争‐記憶の国境線を問う』、御茶の水書房、p.100-121
鎌田真弓
2012 「戦争体験を語り継ぐ:豪国立戦争記念館」鎌田真弓(編)『日本とオーストラリアの太平洋戦争‐記憶の国境線を問う』、御茶の水書房、p.36-57
2012 「国防の最前線:ダーウィン空襲を追悼する」鎌田真弓(編)『日本とオーストラリアの太平洋戦争‐記憶の国境線を問う』、御茶の水書房、p.80-99
加藤めぐみ
2012 「オーストラリアの文学の中の太平洋戦争」鎌田真弓(編)『日本とオーストラリアの太平洋戦争‐記憶の国境線を問う』、御茶の水書房、p.194-213
ネルソン、ハンク
2012 「自分のクニが他国の戦場となるとき:パプア・ニューギニア」鎌田真弓(編)『日本とオーストラリアの太平洋戦争‐記憶の国境線を問う』、御茶の水書房、p.160-175
第5回 オーストラリア(2)多文化主義オーストラリアとその展開
第6回 ゲストレクチャー「オセアニアと中国」
第7回 オーストラリア(3)-オーストラリアの先住民
第8回 <学生発表>オーストラリア先住民とウラン開発

課題:オーストラリアにおけるウラン産業の歴史を概略した後で、ジャビルカ鉱山開発と反対運動の経緯を、先住民の果たした役割を中心に説明せよ。その上で、先住民と環境保護団体の「自然」観をめぐる齟齬を具体的な例を出して説明し、その後、オーストラリアのウラン産業の歴史において日本の果たした役割を指摘せよ。

<基本文献>
細川弘明
1999 「先住民族運動と環境保護の切むすぶところ‐オーストラリアの事例を中心に」鬼頭秀一(編)『講座 人間と環境 12巻 環境の豊かさを求めて』、昭和堂、p.168-189
伊藤孝司、細川弘明
2000 『日本が破壊する世界遺産―日本の原発とオーストラリア・ウラン採掘』。風媒社
鎌田真弓 
2003 「グローバリゼーションの中の先住民族:オーストラリア・アボリジニのウラン鉱山開発反対運動」『NUCB journal of economics and information science』47(2), p.81-94
松岡智弘
近刊 「ウラン採掘地から福島へのオーストラリア先住民のまなざし」山内由理子(編)『オーストラリア先住民学と日本』、御茶の水書房
第9回 <学生発表>日豪関係

課題:1.日豪関係の変化を時系列にしたがって説明し、2.戦前と戦後の移民を、移住の動機、移住を取り巻く状況、移住先、仕事、等にそって比較し、3.その違いの背景を日豪関係の変化に連関させて説明せよ。

<基本文献>
村上雄一
2004 「アンビバレントな関係ー近代の日本とオーストラリア」、藤川隆男(編)『オーストラリアの歴史ー多文化社会の可能性を探る』、東京:有斐閣、pp。166-178
関根政美
2004 「アジア・太平洋国家への挑戦」、藤川隆男(編)『オーストラリアの歴史ー多文化社会の可能性を探る』、東京:有斐閣、pp。220-238
長友淳
2007 「90年代日本社会における社会変動とオーストラリアへの日本移民ーライフスタイル価値観の変化と移住のつながり」 『オーストラリア研究紀要』 第33号 pp.177-200
山内由理子 
2012 「オーストラリア北部の日本人移民とその子孫ー歴史と現在を生きる」 早稲田大学オーストラリア研究所(編)『世界の中のオーストラリア』 オセアニア出版社 pp.43-60
第10回 ニュージーランドの歴史
第11回 <学生発表>ニュージーランドの先住民

課題:マオリ社会の歴史的構造変動(伊藤 2007)を説明し、その中に位置づけて、様々なマオリの復権運動について(内藤 1998,1994)、その指導者達はどのような社会的バックグランドを持っていたか、それが彼等の運動の性質とどう関わってきたかに留意しながら、説明せよ(内藤 1989,1994)。その上で伊藤(2007)の言及する「新たな分離」とは、以前の「分離」とどう異なるかを説明せよ。

<基本文献>
伊藤泰信
2007「第二章 構造的変動の歴史とマオリ個別の知の発現」、伊藤泰信『先住民の知識人類学ーニュージーランド=マオリの知と社会に関するエスノグラフィ』、京都:世界思想社、pp。31-72
内藤暁子
1994「マオリ復権運動の振り子の行方ー消化不良を起こしたニュージーランド政府」、熊谷圭知、塩田光喜(編)『マタンギ・パシフィカー太平洋島嶼国の政治・社会運動』、東京、アジア経済研究所、pp。257-282
内藤暁子
1989「ニュージーランド・マオリ、キンギタンガの変遷と問題点」『史苑』第49巻一号、pp。24-55.
第12回 ゲストレクチャー「カヌーとオセアニア」
第13回 ゲストレクチャー「オセアニアとフランス」
 
Plan  
No.Content
ALH1 Active Learning (1)
Writing an essay
Deadline: 7th class
ALH2 Active Learning (2)
Watch the film 'Once were Warriors' and write an essay
Deadline: 10th class
1 Introduction
2 History of Australia (1)
3 Guest Lecture: Oceania and South East Asia
4 Student presentation (1)
World War 2
5 History of Australia (2)
6 Guest Lecture: Oceania and China
7 History and contemporary politics of Australia: Indigenous Australians
8 Student presentation (2)
Indigenous Australians and uranium
9 Student presentation (3)
Japan-Australia relationship
10 History of New Zealand
11 Student presentation (4)
History of Maori people
12 Guest Lecture: Canoe and Oceania
13 Guest Lecture: Oceania and France
 
成績評価の方法・基準   
授業中のパフォーマンス(25%)、発表(25%)、アクティブラーニング(1)(25%)、アクティブラーニング(2)(25%)

 
Grading system for assessment   
class perfprmance(25%), presentation (25%), Active Learning 1(25%), Active Learning 2 (25%)
 
事前・事後学習【要する時間の目安】   
山本真鳥『オセアニア史』(2007)のオーストラリア・ニュージーランド編を事前に読み、全体的流れを整理しておくこと。
事後学習としては、授業ごとに学んだ点をまとめておくこと。次の回の授業で確認する。

 
Preview/review   
Read 'History of Oceania' (2007, Matori Yamamoto ed, Yamakawa Shuppan) before the class starts.
Summarise the important points taught in the class and answer the questions in the next class
 
履修上の注意   
教員の指示に従って、必要な文献には目を通した上で受講すること。
盗作、剽窃の見つかった場合には単位を認めないことがあるので注意すること。
4回以上欠席した場合も基本的に単位は認められないので注意すること。
授業中にゲーム、メール、電話、私語などは慎むこと。
 
Notes   
No plagiarism and recycling. No game, emailing, phone call, chatting during the class.
If you are absent from the class more than 4 times, you are out of the class.
 
教科書  
教科書1 ISBN
書名 オセアニア史
著者名 山本真鳥(編) 出版社 山川出版社 出版年 2007
備考
 
参考書  
 
使用言語  
日本語(J)
 
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